最近の国内テント市場では「焚火をするにはTCポリコットン」みたいな風潮があり、キャンプ用のテントやタープはTCが多く、ナイロン製品は売れ行きから製品ライフも少し不安。ナイロンが優れてる面も結構あると思うので、今回はそれぞれを比較してみます。
TCポリコットンかナイロンか?
まずは、それぞれのメリット・デメリットです。
ナイロンが優れてる点
・軽量で省スペース
・防水性が高い
・乾きやすい
・ポリコットンより安い
ポリコットンが優れてる点
・生地が丈夫で熱に強い(難燃性)
・結露に強く通気性がいい
・コーティングが無いので加水分解しない
という事でしょう。
この中で、個人的に一番困るのが、雨で濡れてるテントの撤収です。特に帰ってから干す作業を考えると、TCはなかなか乾かないので大変です。この点ナイロンは乾きやすいので、明け方雨で寝れたとしても、少し日が出れば短時間で乾く可能性が高いのです。
よく言われる難燃性は、実際の実験を見てないのではっきり分りませんが、個人的な経験や思い込みでは、「不燃」でなければ燃える。「難燃」は燃える。なのでポリコットンも燃えると思ってます。
では、実際の焚火の弾け飛んでくる火の粉ですが、火の粉というより線香花火の最後まで落ちずに残る火の玉のように非常に高温で数分は燃え続けます。焚き火で空に舞い上がった火の粉とは全く違います。つまりナイロンなら一瞬で溶けますが、TCも雨で水を含んでない限りは、じわじわ燃えると思います。
対策ですが、「火の粉を遠ざける」しかないと思います。つまり焚火であればテントから離す。チェアや障害物を置いてテントをガード。薪ストーブなら薪を激しく燃やし過ぎない。煙突を高くする。実際にテントは大丈夫ですが、冬場にひざ掛けに使ってる難燃性のブランケットは穴だらけです。
ワンティグリスのワンポールテント
ワンティグリスのワンポールテントを比較します。Black Orca までは実質的には一人用のテント。その後継として大型の Rock Fortress が発売され、半年後にはポリコットンの Hot Tent 09TC (これが今の Northgaze に相当) が発売されるという流れでした。
■Rock Fortress 24,000円
Rock Fortress は、Black Orcaに比べてかなり大きくなり 6人仕様(とても無理ですが)。大人3人でコット泊したこともありますが、大人2人で広く使えるサイズ。煙突ジャック付きで薪ストーブも使えるホットテント。スノースカートが付きました。
テント: 70Dコーティングナイロン生地でスカート有り。
直径:3.8m 高さ:2.4m
収納サイズ:58cm x 20cm x 20cm
重量:4.2Kg
耐水圧:PU3000mm
■Northgaze TCポリコットン 29,800円〜
ポリコットンの Northgaze は、一回り小さくなり、二人なら丁度良いサイズ。一人でも広く使えるサイズ。入口は片側だけになりましたが、入口が大きく開きキャノピーにもなるのが特徴。入口部だけはキャノピーになるのでスカートがありません。
直径:3.6m 高さ:2.05m
収納サイズ:58cm x 20cm x 20cm
重量:7.25Kg
耐水圧:350mm-400mm
Rock Fortress と Northgaze を比較
まずサイズの比較ですが、直径は 20cm の違いでさほど違わないのですが、高さが 35cm 低いので、特に冬場にテント内で動く際は、頭がウォールの傾斜にあたり、Rock Fortress に慣れてると狭く感じそうです。夏場は入口を開けたままにするので、Northgaze は片側が広く開き、逆に開放感がありそうです。さらにTCの方が遮光・遮熱効果があるので夏向きでは。
Rock Fortress は、前後の入口が開くので、出入りしやすく、設営方向も気にならない。夏場は風が通る感じ。Northgaze は前面が広く開くので風は通り抜けないが、開放感はあるので風向き次第。ともにスカートが付きで、夏場は巻き上げて留める事ができます。
Northgaze の特徴はなんと言っても入口が開いてキャノピーになる点でしょう。二人ならタープ無しでも対応できそう。基本的に入口オープンで、インナーテントと組み合わせて使うのが良さそうです。
ということでは、Rock Fortress は冬の巣ごもり向き。Northgaze は開放的な夏向きテントになります。
シルナイロンは主流になるのか?
シルナイロンといえば、Steak Outside の シマロンやレッドクリフで使われている素材。ナイロンだが軽くて裂けに強い素材ですが、本当に同じ生地でこの値段なのでしょうか?
■Notthgaze シルナイロン版 28,900円
テント:40D シルナイロン製(裂け防止、片面シリコン加工) PUコーティング
直径:3.6m 高さ:2.05m
収納サイズ:50cm x 20cm x 20cm
重量:2.1kg/4.6lb
耐水圧:PU3000mm
寸法はTCと同じですが、TCの 7.25Kg に対してシルナイロンはカタログでは 2.1Kg しかありません。ポールやペグなど含まれてないのでは?と思ってしまいます。
因みにレッドクリフは
・468W x 333D x 208H
・重量:総重量2.4kg (約)1.8kg(テントのみ) 0.6kg(ポール、ペグ含)
・加工:両面100%シリコーン加工、UVカット、防水&撥水(耐水圧4000mm)
レッドクリフは、「両面シリコン加工」に対して Northgaze は「片面シリコン加工とPUコーティング」です。このあたりが価格などにも関係してるのでしょう。
70Dから40Dのナイロンに落としてシリコン片面処理で強度を確保し、軽量化を実現してるようです。シーム処理がどうなのかも気になります。
100% ではないものの「シルナイロン版」に気が付いてしまい、どうしようか迷ったのですが、OneTigris の 10% キャンペーンで、28,900円 が 26,010円 に。加えて、楽天の5の付く日やら、何やらの確変モードで4,000円以上ポイントも付きそうなので、ついつい買ってしまいました。Rock Fortress 用のメッシュインナーテントを買ったばかりなのに(使えると思いますが)。
Northgaze シルナイロン版を開封
早速届いたNorthgaze シルナイロン版を開封して比較してみます。
いつものビニール梱包で到着です。
開封したサイズは、ほとんどRock Fortress と同じ感じですが、収納袋の長さはポールが長い分 8cm 長いようです。
ただ、やはり袋の大きさも違います。いつもの計測器は2Kgまでしか測定できず、体重計で測ると2.35Kgでした。ポールを取り出して測ると、ポール収納袋ごとだと422gで、ポール単体は 400g でした。
別の角度から見ると違いがよくわかります。
以前の Rock Fortress のポール収納袋は下の写真のように、設置の際ポール先端に被して取り付け、収納袋にカラビナなど付けられ、色々な物を吊るす事ができました。インナーテントなども紐をフックで引っ掛けます。
残念な事に、今回は普通の収納袋でした。
カラビナが取付けられる事は確かに便利なのですが危険な面もあります。うかつにポールにオイルランタンを引っ掛けると、当然ながら熱気が上がり燃え移る可能性があり大変危険です。テント内で寝る準備の時など、オイルランタンを知らない人が一緒だと、ランタンを倒しそうなのでつい上のフックに。そんな時こそ要注意です。
今回は、ポールの先端には大きなボールが付いて天井を優しく支えます。専用インナーテントもテントのように、インナーテントの中からボールで立ち上げる仕様に変更されてます。
Rock Fortress 用に買ったメッシュインナーテント(これが意外とデカくて 1.7Kg と重い)も加えました。
メッシュインナーは重いが短いので、もしやと思い、余裕のあるNorthgaze のバッグに入れてみると
何と入っちゃいました(驚き)。
というくらい、Northgaze の収納袋は余裕なので、ポールを取り出せば、テントそのものは、かなりコンパクトに収納が可能です。虫を気にしない秋以降であれば、メッシュも要らず、タープ兼用で十分です。ソロキャンプの荷物搭載も、軽くて場所を取らないので楽ですし、スクーターやバッグパックでさえ搭載が可能です。
収納袋ですが他のシルナイロン製品同様によく滑ります。この滑りが撥水性を高めてるのでしょう。
ということで今回は、ポリコットンとナイロンの比較と、最新のシルナイロン製品も紹介しながら、ワンティグリスのワンポールテントを比較してみました。
追記: ソロキャンプ ツーリング用に、テントだけコンパクトに収納してみました。
海キャンプデビューが待ち遠しいのですが、今週も雨であきらめ。とうとう夏が終わってしまいました。
コメント